第二部 共通質問 ディスカッションレポート

第1回・第2回・第3回「都政わいわい勉強会 in 世田谷」

ディスカッション・レポート 共通質問編

 

以下の講師の方々に予め会からご連絡した3つの共通質問(1.政治への市民参加、2.東京都のエネルギー問題、3.高齢化社会・子育てなどの身近な課題)に対して講師の方々からご回答を頂きました。その回答内容を編集して以下に纏めました。回答記載の順番は第1回勉強会(5/18開催)・第2回(5/27開催)・第3回(6/5開催)の順、またそれぞれの回での実際の回答順に従いました。

 

第1回 講師(50音順):関口太一さん(民主党)・山口 拓さん(民主党)

第2回 講師(50音順):後藤雄一さん(行革110番)・里吉ゆみさん(日本共産党)

西崎光子さん(生活者ネットワーク)・羽田圭二さん(社会民主党)

第3回 講師(50音順):大場やすのぶさん(自由民主党)

・ひびやすまささん(みんなの党)

 

共通質問1.政治への市民参加について

民主主義の行き詰まりが日本でも議論されてきております(資料参照)。地方自治体においても市民参加(による合意形成)が議論され、様々な試行がされてきております。東京都における市民参加には未だ課題があるとお考えでしょうか。あるとお考えの場合はどのような施策を考えておられますか。

昨年(2012年)5月、東京都議会で都民34万人余の「東京電力管内の原子力発電所の稼働に関する都民投票条例案」が直接請求されましたが、都議会によって否決されました。また本年、常設・実施必至型住民投票条例(*)制定を求めた陳情が都議会に提出されましたが、都議会定例会での審議の結果不採択となりました。こうした都民の動き、市民参加の一つの方法としての住民投票制度の是非も含め、御回答をお願いします。

(*一定の署名数が集まれば議会の審議を経ず、必ず住民投票が実施される制度)

 

【回答】

山口さん:

政治への市民参加、議会の中で市民から課題を頂き議論するのが議会であり私もその一翼を担っています。市民の与えられた権利として直接請求された住民投票については議会が否定もしくは否決するものではないと思います。

 

関口さん:

小学校時代に学んだ国民が主権者であるという言葉が今でも大事だと思っています。市民が政治に参加するのは当然であり、選挙においては市民が適切な候補者を自ら探し、選ぶことが大事です。また常設型住民投票制度については対象案件をどうするかという議論はあるものの、他の自治体でも導入されており、東京都での導入は当然のことと思います。

 

里吉さん:

議会の意見と住民の意見がねじれている場合、一番民意を反映出来るという意味で住民投票は大変重要だと思います。実は共産党は2000年に住民投票法案という大綱を作成し、国として法案を作ろうという提案をしています。また陳情・請願においては市民の意見表明など議会と直接やり取りをする機会は世田谷区議会ではありますが、都議会では全く無く、議員の前できちんと意見表明が出来ないというのは全く遅れていると思います。まだまだ改革する点がたくさんあると思います。

 

後藤さん:

8年間都議会で働いていた時に感じましたが、都議は前もって勉強することをしない、させないところ、更に言えば調べられたら困るところなのです。そういう点において、市民参加は当たり前にしなければならないし、皆さんの今後の活動にも期待しています。

 

西崎さん:

昨年直接請求された「原発」都民投票条例に対する都議会での審議においても請求代表者の意見陳述の時間を40分間持ちましたが、それも総務委員会理事会で言って漸く実現しました。議員は選挙で選ばれている市民の代表なのだから、市民参加などは進めなくていい、というのが今の都議会議員の大半の考え方だと私は捉えています。

住民投票制度は間接民主主義を補完する手段としての直接民主主義の方法として、今後都議会で議論を進めていく必要があり、常設型住民投票条例を私の政策テーマの一つとして掲げております。

 

羽田さん:

特に最近の都市計画問題において東京都は市民の意見がなかなか反映されていないことが明らかになっています。住民の意見をどう政策や計画に取り入れて行くかということが今問われているのだと思います。これまでは市民の発言の機会を設けても予め決められた人たちの参加や発言でした。これからはワールドカフェやワークショップなど発言・対話が可能な機会を設けることが大変重要だと思います。住民投票制度自体は重要ですが、先ずは住民の意見が政治の場で反映出来ないことが一番の問題であり、逆に言うと住民の意見が反映できれば、住民投票の要望は少なくなってくると思います。

 

大場さん:

区議会議員の時代から私は皆さんに代わって仕事をさせて頂いている、というのが基本姿勢です。政治への市民参加について、あるいは民主主義の行きづまりがあるとすれば、こういうところは変えて欲しいという皆さんからの提案を頂ければ、今後の私の課題として行きたいと思います。

昨年の「原発」都民投票条例の直接請求に関しましては、党の政務調査会の考え方を述べさせていただきます。

「住民投票制度は間接民主制を補充する重要な手段ではあるが、首都圏におけるエネルギー問題のように、複雑多岐にわたる課題については、国が安全性、経済性、産業政策、温暖化対策、安全保障などを複合的に考慮して、専門的な知見も踏まえ、総合的に判断すべきものである。従って住民投票という手段でただ観念的に是非だけを問い、その結果をもってのみ判断材料とするのは、国の存亡にかかわる事態になりかねない。」

 

ひびさん:

政治家と市民・社会人が乖離してしまっているという気がします。一般市民が議員になり、一期、二期務めてからまた一般市民に戻る、というのが理想と思います。議員を何期も続け、場合によってはそれを世襲する。これがどんどん離れて行ってしまう理由だと思います。皆さんが議員になる、と手を上げること、これが市民参加の方法の一つです。また議会のTV中継・ネット中継が重要です。こういう人たちに任せるのであれば、自分が選挙に出た方が良いと思うという気持ち、また議員の方々が市民に見られ、フィードバックが来るという緊張感の中で磨かれて行き、また市民参加が醸成されて行くのではないかと思います。

先日の小平住民投票では投票率が50%に満たず、開票されませんでした。議員・市長を選ぶ選挙で50%を超えなければならないということはありません。住民投票によって住民が投票して意思表示をすることは市民参加の方法として非常に良い方法だと思っております。

 

共通質問2.エネルギー問題について

東京都は日本最大の電力の消費地です。東日本大震災と福島第一原発事故後、多くの都民がエネルギー問題を身近にとらえ、その解決に参加していくことが重要と考え始めました。東京都としてのあるべきエネルギー政策について、原発再稼働の問題も含めてお聞かせください。

 

【回答】

関口さん:

エネルギー政策は東京都だけで自己完結は出来ません。従って地産地消の取組によって都外からのエネルギー依存を少しでも下げることが目標となります。現在は天然ガスを主軸としたコンバインドサイクル発電所建設、東電の古い火力発電所を最新型天然ガス発電に切り替えることなどが議論されている段階です。原発の再稼働問題は極めてシンプルです。核のゴミの処理策が決まっていない段階で再稼働はとうてい政策としてあり得ません。従って私は天然ガスを主軸とした都の地産地消政策を進めて行きたいと思います。

 

山口さん:

東京の電力供給の問題を考えた場合、産業を止めてはならない、従って必要な電力は確保しなければなりません。しかしながら電気に頼り過ぎているエネルギー環境については市民レベルも含めて意識改革が必要で、企業を含めて最低限の電力供給で賄うべく都民が努力することが求められていると思います。国レベルで必要最低限に抑える努力と天然ガス・自然エネルギーへの取組みを含めた10年、20年を見据えたエネルギーシフトを今からスタートさせる必要があると思います。これと並行して原発の問題を考えていくべきと考えています。国レベルで今ある電力をみながら、原発を止めることで安心が得られるのか。本当に「安心を得る」ということについて慎重に議論するべきと思います。

 

後藤さん:

私は原発の再稼働には反対です。理由は原発というのは(使用済燃料など)捨てる場所が無い。原発というものは有ってはならないものだと考えます。また日本は地震列島です。このような国に沢山原発を建設し、私たちは安全だと言われてきました。だまされた私たちも悪いですが、その反省を含めて私は今福島の南相馬と関わらせて頂いております。エネルギーは地産地消が一番であり、それを進めて行くべきだと思います。私も昨年11月から自宅で太陽光発を始めました。

 

西崎さん:

私も原発には反対です。私も福島に行ってまいりましたが、目に見えない放射能との戦いはまだ続いています。被害に遭われた方々はこれまで普通の生活をされていたのに、家族がバラバラになりなってしまっています。私たちはこれまでその恩恵に与って来た訳ですから、この問題を確りと考えて行かなければいけないと思います。また使用済核燃料の処理の問題もあります。

東京都ではスマートシティーという取組みがある一方で、猪瀬知事は地下鉄を24時間動かしたいという発言をしており、矛盾があります。エネルギーは無限でないことも含めてこれは今回の都議会での質問にしたいと思っております。太陽光については東京都も助成金を出していますが、八丈島で地熱発電を研究することになりました。私は市民共同発電の取組み等、市民感覚でやれることをやるための政策を東京都に揚げて欲しいと思います。

 

羽田さん:

私も原発には反対です。福島のお子さんたちの放射能の影響を未だに考えざるを得ない状況を見過ごすことは出来ない。また、福島など原発の誘致問題では疲弊する地域経済が背景にあることを見逃してきたことの反省が必要です。東京のエネルギー転換については世田谷での太陽光発電設置の取組みが評価出来ると思います。一方で自宅にパネルを付けられない方々の為にも東京都は市民共同発電への支援を行うべきだと思います。これからはこうした市民参加が大事であり、何から何まで行政がやってくれることを待つのではなく、世田谷区で行ったように敢えて補助金は止め、区民が積極的に太陽光発電に取り組むことを求め、それを支援していくことで実現していくことも大事だと思います。

 

里吉さん:

私も原発には反対です。私も東京都の水道水にセシウムが入っていた時には1歳の子供を抱えていたにも関わらず、水が手に入りませんでした。そのようなことが今でも福島で心配されているのに再稼働に向かうということは信じられません。

東京は「再生可能エネルギー戦略」において2020年に自然エネルギー割合を20%にすることを掲げていますが、現状は0.7%、都外からの水力を入れても2.9%。本気でこれを達成しようと思ったら道路を作ったりする以前に、耐震強度の高い建物に太陽光パネルを設置するなど、東京都が出来ることがたくさん有る筈です。行政と市民が一体になって自然エネルギーへの転換を発信していくことが今東京に求められていると思います。

 

ひびさん:

未だに放射能を漏らし続けている東京電力に電気料金を納得して支払っている方はほとんどいないと私は思います。結局、我々消費者としては選択肢があるかどうか、企業からすると選択されるかどうか、という緊張感が重要だと思います。もう1、2社でもよいので、それが欲しいと私は思っています。現在、東京都は東京電力に対して発送電の分離を株主提案として行っており、株主としてのコントロールを行っています。一方で東京都として新電力も使っております。東京都はユーザーとして選択肢があることによって流れを変えることが出来ますが、個人として選択できないことが、私は非常に問題だと思っています。日本は自然エネルギーのポテンシャルがすごくあるはずで、調査・勉強が必要ですが東京では洋上風力発電のポテンシャルがあるのではないかと思います。民間を喚起すれば道は開けると思います。東京都が新電力を使用することによって成長を促せると考えています。

原発については、国際的な安全基準が守られるものがあれば、厳格な40年廃炉の原則に基づきそれが淘汰されるまで再稼働がなされても良いと思っています。一方で東京都が音頭をとり事業会社に対して調整を行えば、ピーク時の電力を下げられるはずです。こうしたことが出来れば再稼働は必要ないのではないでしょうか。

 

大場さん:

原発再稼働につきましては党の考え方を述べさせていただきます。

「原発の再稼働については安全第一の原則のもと国が責任を持って順次可否を判断し、全ての原発に対して3年以内に結論を出すべきである。また原子力の未来を見極めつつ10年以内に新たなエネルギーの安定供給構造を構築すべきである。」

 

共通質問3.高齢化社会、子育てなどの身近な課題について

日本では高齢化社会が進む一方で東京都では継続的に若い世代の人口が増加しています。多くの都民が介護、医療、待機児童・教育制度等、様々な課題に直面しています。どの課題を優先して解決すべきとお考えでしょうか、そしてどのような施策を実行すべきでしょうか。

 

【回答】

山口さん:

すべて優先すべき事項と考えています。特に世田谷は若い人口が急増し、想定を超えて待機児童が増えています。その分今年は新たに1,500人の保育の定員を増やすことなど、区で出来ることを実行し、並行して都では国の施策に先んじてスマート保育の取組などを行って行けば良いと考えます。医療については救急救命医療が立ち行かないので、これは何とかしなければならない、また都議会自民党が積極的に行ってきた癌対策、これも推進して行く必要があると考えております。高齢者政策については介護の充実が必要。ヘルパーさん・ケアマネジャーさんが疲弊してしまっている、お金が十分に回っておらず、それが介護サービスに現れている。施設が足りず、入りたくても入れない、病院も3カ月で退院しなければならいない等の問題は私たちの世代から自分のこととして考えて行かねばならない。教育の問題も含めて全ての課題を同時進行で進めていかなければならないと考えていますが、強いて上げるとすれば、医療ではないかと思います。

 

関口さん:

介護、待機児童、医療、教育制度、全てに共通するものは「人」だと思います。民主党では「コンクリートから人へ」のスローガンを掲げ、教育予算を増やし公共事業の予算をカットしています。高校の無償化、子ども手当ても増えました。お金の使い方、政治のスタンスを「コンクリートから人へ」更に進めて行くべきだと思います。全国にはダムはものすごい数がありますが、東京には保育園や介護施設が不足している。その理由を皆さんにも考えて頂きたいのです。そこにお金の使い方を決めている政治家の目が向いていないのかもしれませんし、旧態依然とした政治のしがらみがたくさんあるのかもしれません。今は「コンクリートも大事」という雰囲気になりつつありますが、私はやはり「人への投資」が一番大事だと思います。

 

西崎さん:

中々どれが一番重要ということが言えません。今年の東京都の予算は約6兆円、そのうち福祉の予算は初めて1兆円を超えました。これは子育て支援もありますが、高齢化の問題で介護保険・国保などの支出が増えているということも増加の要因になっています。限られた時間ですので介護の問題についてお話しさせて頂きますが、施設が見つからず、遠い所しかないということが発生する現実です。在宅と施設の併用を考えると小希望・多機能型の施設が今後求められて行くと思います。まだまだそう言った施設は足りず、地域の中で完結できるような地域福祉を進めて行くべきなのではないかと私は思います。

 

後藤さん:

立場立場によって異なるので、優先順位は付けられません。介護は家族が大変です。介護以前に少しでも長く元気でいるように出来ることが一番大事だと思います。また子供は大事です。待機児童の問題など、福祉は未来に向けての政策をとって行きたいと思います。

 

里吉さん:

障害者のことも含め優先順位は付けられませんが、東京都の予算では人間を大切にする、皆さんが家族を大事にする、一番当たり前のことを都政の最大優先課題とすることが大事だと思います。待機児童の問題はただ待機を解消すれば良いということではなく、ちゃんとお庭のある認可保育園を作って欲しいという声が広がっています。高齢者、障害者については尊厳を守って生きる権利、子どもが健やかに育つ権利を政治は最大限保証しなければなりません。東京都はスウェーデンの国家予算に匹敵する予算がありますので、優先順位を付けることも無くこの中で出来ると思います。教育についても35人学級を是非進めて行きたいと思います。

 

羽田さん:

優先順位は付けられるものでは無いと思います。しかし介護で疲れている家庭やお子さんを預けられなければ仕事を辞めなければならない、など深刻な状況が増えています。待機児童の解消、自宅での介護の負担を取り除くことが重要だと思っています。高齢者については決して特養老人ホームを乱立させれば良いということではありません。多く方は自宅で暮らし続けたいと思っていらっしゃいますが、現実には難しい状況です。一時的に施設を利用するなど自宅と施設をつなぐことが必要だと思います。特養老人ホームや認可保育園は国や都の保有地などを活用することなどの策を取らないと用地確保・建設が出来ないと思います。

 

ひびさん:

財産のある方は子育てでも、高齢者の対策でも自立して自分の蓄え・収入で自活していくのが基本的な考えだと思います。一方で蓄え・収入が少なくサービスを受けられない方々をどうするのかということが問題です。みんなの党としては歳入庁を設立し、皆さんの蓄え・収入を管理し、厳しい方はセーフティーネットで救うという考え方を持っています。我々は様々な行政窓口に税金・保険料を支払いますが、それを一か所に纏めて支払い、今月はいくらかかったか明細が出てきて、厳しい方はセーフティーネットで救う、という考え方です。

 

大場さん:

私たち自民党としては健康寿命、即ち介護を受けないで自立して健康でいる期間を、80歳まで伸ばしたいという目標を掲げました。2世代、3世代同居、または家族が近くに住むなどのバックアップ体制が必要ではないかなど、新しい仕組み作りをして行くことも必要です。その他、見廻りの機能・緊急時の対応などを備えたケア付きの住まいの整備を加速して行かなければならないと考えています。障害者が日常の生活の場であるグループホームなどを積極的に整備する必要があります。また高齢者、障害者が働ける機会を提供して行きたいと考えております。元気で長生きして行ける社会をつくっていかなければならない、そのために東京都として何が出来るのか、考えて行きたいと思います。

 

以上

 

編集責任者:世田谷から未来をつくる会