レクチャー概要まとめレポヾ(*゚∇^*)ノ

当日の前半戦「改選後の都議会を読む」をテーマにしたレクチャーの概要まとめレポートです。

 

■今回の都議選結果は元に戻っただけ

 都議会では第18期(20092013)の4年間を除けば、ほとんど自公が過半数だった。その中には美濃部都政も青島都政もあった。これでいいというわけではないが、悲観することでもないと思っている。

 戦後の都議会各会派の変遷を見ると、第1党が自民党、第2党が公明党の時代がずっと続いて、たまたま第18期だけ民主党が第1党になった。自公と共産党以外の政党は、社民党、日本新党、新生党、新進党、無所属の会派まで含めれば、多種多様のありとあらゆる勢力が離合集散を繰り返してきた。みんないろいろ渡り歩いている。たとえば柿沢未途さんの例。

※資料:都議会各会派等の変遷(『都議会のはなし2012年度版』

 

■野党の力関係が変わった

 今回の都議選で一番変わったのは、野党の力関係(共産党が817議席、みんなの党が07議席)。共産の躍進は97年にもあった(1326議席)が、今回は党勢が拡大したわけではない。今回参院選で敗北した神奈川、愛知、福岡は県議会に議席がない。つまり党勢と議席にギャップがある。投票率が低いから共産党が躍進したと言われるが、97年は投票率50%で得票数80万、今回は投票率43%60万、過去とは質も量も異なるので、4年後どうなるかはわからない。

 

 みんなの党は「右の共産党」とも言われ(笑)意外に固定客が多い。ポテンシャルは高いのに党内がバラバラ。分裂して、これからどうなるのかと質問されているが、私のほうが知りたい。

 

 民主党については、直前まで第2党は守れると思っていたが、複数擁立でも一本化でもことごとく落ちて、予想は大はずれ。都議選は参院選の〝前哨戦〟と言われたとおりで、スズカン(鈴木寛さん)も落選したように「一本化すれば勝てる」は幻想だった。今回は「民主党を勝たせたくない選挙」だったのではないか。とにかく反自民の受け皿づくりには一定の時間がかかる。

※資料:参院選〝前哨戦〟都議選を再現(『都政新報』2013726日号)

 

■投票率は高ければいいのか?

 投票率が高かった選挙にろくな思い出がない。典型的なのが直近の都知事選は62.6%で猪瀬さんが史上最高の得票率だったが、猪瀬さんにそこまでのポテンシャルがあるとは思えない。衆院選と同日でなかったら、そこまでにはならなかったのではないか。4年前の都議選で民主党が躍進したあとの都議会の4年間もひどかった。投票率が低くてもそれが民意だと思う。投票率が高いと、むしろこんなに票が過激に動いてしまって大丈夫かなと思う。

※資料:戦後の主要な選挙の投票率(都選管HPより)

■問題提起:「2大政党脳」から脱却しよう

 どの政治勢力が過半数を得るかは、選挙で政党や候補者を選択するにあたって、一側面でしかない。「第三極脳」も「2大政党脳」と同じようなもの。選挙は、政策、イデオロギー、世界観、人生観で選ぶものである。

 

 民主党政権の失敗は、多様な民意を「政権交代」の名の下にひとまとめにしてしまったこと。典型的な例は八ッ場ダム。中止にした政権が再開をした。1つの政党をつくると政策本意でなくなるのではないか。

 戦後の歴史のほとんどは自民党政権の下でおこなわれてきた。日本国憲法(憲法9条)を守り、国民皆保険も守ってきた。自民党過半数がよいと言っているわけではないが、政権交代ありきの発想、自民党を凌駕する政党が必要だという発想はそろそろやめたらどうか。野党も必死にやれば実現できる政策があると思う。市民の世論のないところで政権交代しても、あとでしっぺ返しを食らうのではないか。

 

 私の持論だが、「政治改革」は失敗だった。小選挙区制の弊害が出ている。すなわち、数の論理・横暴で物事が進み、少数政党が消滅し、多様な民意が否定される。政党助成金によって「国営政党」が誕生している。たとえば維新。選挙でゼロか100かを迫るのはやめて、頭を冷やすべきだと思う・・・特にマスメディアは。

 

(2)第2回定例都議会の注目点

 

■「新たな長期ビジョン」(仮称)の策定(猪瀬都政が目指す東京の将来像)

※資料:「新たな長期ビジョン(仮称)」策定方針(2013731日)

 第2回定例都議会は911日告示で18日開会。各政党が焦点にしてくるのは、「新たな長期ビジョン」の策定。2023年までの長期ビジョンで、主要テーマは人口減少社会と少子高齢化社会。

 住民基本台帳に基づく2013331日現在の日本の人口は、前年比266004人減の126393679人。東京都の人口(推計)は、81日現在13282271人。

 東京の自治のあり方研究会「中間報告」(2013328日)によると、東京都の総人口は、2020年をピークに2100年にはピーク時の半数強の713万人まで減少、65歳以上の老年人口は2050年には2010年の約6割増に。うち、75歳以上老年人口は2060年には2010年の約2.3倍に。高齢化率約20%(2010年)、30%超(2040年)、その後も上昇し約46%に(2100年)。

 つまり、入ってくる税金は減って、稼げない人が増えるということ。膨大な経費をつぎ込んだ六本木ヒルズなどの巨大な箱物は、借金を誰が返すのかという問題と、箱物に入る人自体が減ってくる問題がある。人口を増加させなければ廃墟になっていくしかない。日本の人口は自然減なのに東京だけが2020年まで増えているのは、都心のタワーマンションなどにファミリー層を入れて人口を無理やり増やしているから。

 石原知事の『東京構想2000』以来、久しぶりの本格的長期計画だが、都民の意見を反映させる仕組みは用意されていない。よって、年末にある日突然、長期ビジョンが発表されることになる。パブコメの予定も今のところなし。これだけの大切な時期に入っているのに、職員だけで案をつくって各局に意見を求めるだけというのは非常にもったいないことだと思う。

※資料:東京都における「計画」策定の経緯


 長期計画は東知事の時代からつくられてきた。美濃部さんは長期計画はあまり好きでなかったが、鈴木都政では「マイタウン東京」、青島さんも「生活都市東京」というのをつくっている。鈴木都政も青島都政も、懇談会をつくっていた。石原知事は計画づくり自体が嫌いだった。

※資料:都長期計画、歴代知事の色濃く(『都政新報』201389日号)

 

■数のパワーゲームの終焉(自公主導の都議会へ)

 今回、自公が過半数になったので、採決の際に12人の差で逆点するようなことはなくなる。逆転の典型例としては、震災直後に自民の樺山さんが亡くなったため、否決されるはずだった民主党提案の省エネ条例が可決された。何となく後味が悪い。築地移転問題では花輪さんの突如の変節で一転して可決。そういう数のパワーゲームで振り回される都政は、職員も僕らマスコミも疲れる。

 

■都知事と都議会のバランス(2つの「民意」、車の両輪が問われる)

 これまで強い知事のトップダウンで物事を決める都政が十数年続いてきたが、今度は都知事と都議会が車の両輪になる。背景には、自公圧勝、維新惨敗、石原氏の求心力低下があり、「石原」的な都政(トップダウン、側近政治、議会軽視)は名実ともに終わって議会が強くなるだろう。

 

■都政のアベノミクス化(アジアヘッドクオーター特区)

 アジアヘッドクオーター特区とは、特区をつくって誘致対象外国企業に対して法人税を安くする、いわば規制緩和。猪瀬知事は「安倍総理がピッチャーであるならば、我々は国家戦略特区というボールを、現場を有する東京都がキャッチャーとしてしっかり受けとめ、地下鉄、バス、病院、学校、消防、水道、下水道、さまざまな現場を持っている東京都がキャッチャーとしてしっかりと受けとめて、アジアヘッドクオーター特区の取り組みを深掘りしていきたい」と発言した。もっと世界基準に近づけようということだが、それが都民のためになることなのか、都政は国の下請け機関でいいのか、ということが問われなければならない。 

        ※資料:「アジヘッド特区、国家戦略特区に選定を」(『都政新報』2013823日号)

 

 

■五輪招致の成否が都政の行方を変える

 9月7日のIOC総会で決定するが、東京、マドリード、イスタンブール、それぞれに弱みがある。東京の弱みは東京電力福島第一原発の汚染水漏れ。もともと東京は滑り止めという感じで、これといった決め手がない。僕はたぶんマドリードだと思うが…。勝てば、都庁はこれから2020年まで五輪を中心に動く、負ければ目標を失ってしばらくはモラトリアムになる。

 

■議会改革

 これは焦点というよりは、クギを刺しておきたい問題。「通年議会」について、第18期都議会では、「都議会のあり方検討会」で14年度以降の開催を合意したものの、具体的な時期などは第19期の検討に委ねることになる。第18期と第19期では、会派構成や政党の力関係が異なり、また大胆な議会改革に積極的だった都議はみな落選した。一方で18期での議論を知らない議員も多数いるのでどうなるかわからない。

※資料:「都議会、通年議会を導入へ」(『都政新報』2013531日号)

 

■問題提起:都議会をウオッチングしよう

 都議会は意外にがんばっている。都議会は「紙の読み合いでつまらない」と批判されることもあるが、誰でも委員会で質問できるし、1人でも会派を名乗ることができてネーミングも自由。がんばっている都議はいるので、ぜひウォッチしてほしい。日野市議会をウオッチする市民団体があった。居眠りやヤジの回数をチェック、4年間1回も発言しなかった議員がいたなど、すべて公開していた。

 タイミングのよい、鋭い野次は議会を引き締める。自民党にはヤジ将軍と呼ばれる名物議員がいた。変なやりとりになってきた時に「何やってるんだ!」と声が飛ぶと議会が引き締まる。野次の中味に真実があったりするので、野次に耳をすませてみてほしい。

(3)猪瀬都政の行方

■都知事選は日本の空気を変える。

 美濃部さんは「革新」・・・実際に日本に革新の空気が生まれた。鈴木さんは「ハコモノ」、青島さんは「無党派」・・・そのあと日本中で首長が自分は無党派だと名乗った。石原さんは「タカ派」。しかし、猪瀬さんは?と考えても、まだわからない。

 

 

■「猪瀬都政」なるものは、都政のほんの一部分に過ぎない

猪瀬さんは看板として出している施策が小さい。2013年度予算を見ると、看板施策を全部集めても10億ぐらいにしかならないだろう。新銀行東京で1千億円をどぶに捨てた石原都政と全然違う。一般会計6兆円ぐらいの都政においては猪瀬さんはそのごく一部。猪瀬知事を中心に都政が回っているような見方は変えたほうがよい。都知事と都議会の力関係が問われるので、猪瀬さんが乗り切れるかどうか、よく見よう。

■問題提起:都政(都庁)の「脱・石原」を期待したい

 これはむしろ猪瀬さんへの問題提起。石原都政の「負の遺産」解消への道筋をどうつけるのか?

 

 尖閣諸島購入のための寄付金(基金)・・・寄付金を集めてしまったために都が手を引けなくなっている。新銀行東京の第2ステージ・・・今はつぶれることはないが、放ってはおけない。本来都庁がやることではない。築地市場の豊洲移転問題(1年延期)・・・汚染対策工事で膨大なお金を使っているから、きちんときれいにして移転すべき。きれいにできないのなら中止すべき。使い捨て人事・・・石原さんの焼き畑農業のような人事はもうやめよう。法人事業税の一部国税化・・・予算書がネットに挙がっているので参照してください。

 

(4)最後に

 

■生きるための知識は自分で得よう

 明日91日は関東大震災から90年。これにちなんで・・・。

 災後社会のキーワードは、「自助・共助」。シングルボイス(大本営発表)を疑おう。「大正型関東地震はしばらく起きない」という通説は当てにならない。「東海地震は予知できる」というのは幻想、切迫している。「南海トラフ巨大地震の発生が迫っている」は誤解である。災後社会とは、自分で勉強しないと死ぬ時代。行政は情報を出さない。生きるための知識は自分で得ないといけない。

 

■勉強して、強い主権者になろう

 政治では、当面、自民党の1強時代が続く。受け皿づくりには時間がかかる。「そんなことは知らなかった」という抵抗勢力で終わってはいけない。自分で学ばないと生き残れない。勉強して、賢くて強い主権者になろう。